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どうぶつ裁判

ペット訴訟 急増 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 
 
 
ペットの飼い主と動物病院とのトラブルが増えている。犬や猫を「家族の一員」と愛する思いから裁判を起こす人が相次ぎ、高額な賠償を命じる判決も。獣医師からは「手を尽くしても助からない病はある」と理解を求める声が上がるが、専門家は「病状や治療について、飼い主が納得できるような説明ができていないのではないか」と指摘する。
「言葉をしゃべれないだけで子供と同じ」
大阪府八尾市の女性(50)は涙をこらえて語る。
雌のヨークシャーテリア「アイ」が元気な頃は家族旅行や買い物も一緒に出かけた。食欲がないため病院に行くと「子宮蓄膿(ちくのう)症の疑いがある」と診断され、子宮の摘出手術を受けた。
術後にやせ細ってしまい、嫌がるなか毎日自宅で点滴を続けたが、3年後に立つことができなくなり、11歳でこの世を去った。
2012年の不要な手術と投薬ミスが慢性腎不全を招いたとして、女性らは大阪府の動物病院と院長に損害賠償を求めて提訴。大阪地裁は17年4月、「一般的な水準に照らして注意義務に違反する」として116万円の賠償を命じた。
17年10月の二審判決も病院側の過失を認めたが、慢性腎不全との因果関係は認めず、賠償額は約28万円に減った。女性は「お金がほしいわけではない。我が子のためにできる限りのことをやってあげたい」と上告し、最高裁で争っている。
ベテラン民事裁判官は「この10年ほどで飼い主が動物病院を訴える裁判が急増した」と明かす。人間より死因の特定が難しいことなどから、飼い主が勝訴する割合は低いが、中には慰謝料を含めて数十万~100万円超の高額賠償を認める判決も出ている。
訴訟に至らないトラブルも増えている。国民生活センターによると、動物病院を含むペットサービスをめぐる16年度の相談は692件で、08年度(467件)の1.5倍に。17年度はさらに多くなっている。
日本獣医師会の村中志朗副会長は「クレームを恐れて獣医師が萎縮し、適切な診療ができなくなる」と懸念。東京都内のベテラン獣医師は「『今日も訴えられなくてよかった』と胸をなで下ろす毎日だ」と真顔で語る。
飼い主との対立をどう防ぐか。田園調布動物病院(東京・大田)の田向健一院長(44)は「動物は個体差が大きく、詳しく分かっていない病気も多い。なるべく血液データやレントゲンなどの客観的な資料を示し、治療の選択肢を丁寧に説明するよう心掛けている」と話す。
東京都獣医師会の顧問弁護士として獣医師への研修を担当している田村勇人弁護士は「飼い主の気持ちを収めるのも獣医師の仕事だ」と強調。「飼い主にとって厳しい現実もきちんと伝え、悲しみに寄り添うようなコミュニケーションが求められる」と呼びかける。
動物病院の施設数は全国で1万件を超えて都市部を中心に増え続けており、質の確保が課題になっているとの見方もある。
ペットの医療問題に詳しい渋谷寛弁護士は「薬の投与や飼い主へのインフォームドコンセント(十分な説明と同意)について、獣医師の裁量の幅が大きい」と指摘。大学の臨床教育の充実や診療指針作りを検討すべきだと話している